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小児がん

公開日: 2021-06-21
更新日: 2024-01-31

医師紹介

小児がんとは

15歳以下の子どもにできる悪性腫瘍の総称です。主な小児がんのうち、血液のがんである「白血病」が最も多く、患者数の3割を占めます。次いで多いのが頭蓋骨の内側にできる「脳腫瘍」、血液中のリンパ球から発生する「悪性リンパ腫」、原始胚細胞という細胞から発生する「胚細胞腫瘍」、神経組織から発生する「神経芽腫」などが続きます。

原因

遺伝的に特定のがんになりやすい体質(遺伝的素因)が原因の一部となって起こることもありますが、ほとんどの場合ははっきりとした原因がわかっていません。大人のがんとは違い、生活習慣が原因で起こる小児がんは少ないとされています。

症状

主な症状には以下のようなものがありますが、脳腫瘍などを除くと、それぞれの小児がんに特有の症状はほとんどありません。風邪のときにあらわれるような一般的な症状で受診をした結果、がんが見つかることもあります。
 
〇 主な症状

  • 発熱
  • 頭痛
  • リンパ節の腫れ(⾸のまわり、⽿の後ろ、顎の下、⾜の付け根 など)
  • 関節や骨の痛み
  • 筋肉のしこりや腫れ
  • 胸やおなかのしこり
  • ⾎液の異常(貧血、血が止まりにくい など)

など

検査・診断

小児がんが疑われるときには、疑われるがんの種類に応じた検査が行われます。具体的には、「血液検査」や「画像検査(超音波、レントゲン、CT、MRI、PETなど)」などがあります。
 
最終的に、がんの種類など、診断を確定させるためには、細胞や組織の一部を採取する生体検査が行われます。

治療・治療後の注意

主な治療は「薬物治療」「放射線治療」「外科的治療」です。がんの状態に応じて、これらの治療が組み合わせて行われることもあります。

薬物治療

抗がん剤や分子標的薬などを使った治療です。薬の摂取方法は、飲み薬や注射、点滴などさまざまです。複数の薬剤を組み合わせて使われることもあります。また、外科的治療と組み合わせて補助的な治療として行われることもあります。

放射線治療

腫瘍のあるところに向けて放射線を照射する治療です。外科的治療と組み合わせて、手術前や手術後に行われます。

外科的治療

がんのある部分や転移の可能性のある部分などを手術で取り除く治療です。脳腫瘍や神経芽腫などの腫瘍ができるがん(固形がん)で行われることが多いです。

造血幹細胞移植

白血病や悪性リンパ腫などの血液のがんや、神経芽腫などの固形がんの一部に対して行われます。造血幹細胞と呼ばれる血液をつくりだすもととなっている細胞を点滴で移植し、正常な血液を回復させることを目指す治療です。移植する造血幹細胞は、自分自身から採取したものや健康なドナーから提供されたものが使われます。

予防

ほとんどではっきりとした原因はわかっていない もしくは 遺伝性のため、特定の予防方法はありません。

医師紹介

康 勝好 の画像
康 勝好 医師
1992年 東京大学医学部卒業

1992年 東京大学医学部附属病院、1993年 茅ヶ崎市立病院、1995年 神奈川県立こども医療センター、1999年 埼玉県立小児医療センター血液・腫瘍科医長、2002年 東京大学医学部附属病院小児科助教授、2009年 埼玉県立小児医療センター(2009年より血液・腫瘍科科長兼副部長、2013年より血液・腫瘍科科長兼部長)。小児科専門医(日本専門医機構)、血液内科専門医(日本専門医機構)。専門分野は小児血液疾患、小児がん(特に急性リンパ性白血病)、血友病。