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腎臓がん(腎細胞がん)

公開日: 2021-06-21
更新日: 2023-11-21

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奥田 英伸 医師

腎がん(腎細胞がん)とは

腎臓は、腰より少し高い背中側に左右ひとつずつ位置し、血液中の老廃物をろ過して尿をつくる臓器です。この腎臓内の腎実質という部位に腫瘍が発生するのが「腎臓がん(腎細胞がん)」です。腎盂(じんう)という部位で腫瘍が発生する「腎盂(じんう)がん」とは区別されます。

原因

正確な原因はまだわかっていませんが、腎臓がん(腎細胞がん)が発生するリスク要因としては、以下のようなものがあげられています。
 
〇 主なリスク要因

  • 肥満
  • 喫煙
  • 高血圧
  • 遺伝的要因
  • 長期にわたる血液透析

など

症状

早期では特に症状はありません。進行するとあらわれるものとしては、以下が特徴的な症状とされています。
 
〇 進行した場合の主な症状

  • 血尿
  • 脇腹の痛み(疼痛)
  • 腹部の腫れやしこり(腹部腫瘤)

など
 
そのほかの症状:
発熱 / 全身倦怠感 / 体重減少 / 食欲不振 など

検査・診断

腹部エコー検査やCT検査、MRI検査などの画像検査を中心に、腫瘍の有無や状態、血管や血流の状態、転移の有無などを確認します。画像検査だけでは腫瘍の状態が判断できない場合や治療の検討に必要な場合などは、細胞や組織の一部を採取して生体検査が行われることもあります。

治療・治療後の注意

治療の第一選択肢は「手術(外科的治療)」です。手術方法は大きく以下の2つに分けられ、がんや全身の状態、年齢、意向などによって検討されます。

腎部分切除術(腎機能温存手術)

腫瘍のある部分だけを切除する方法です。腹腔鏡による手術やロボット支援手術、腹部を切開して行う開腹手術のいずれかによって行われます。
 
腎臓の機能を残せること、合併症の発生や死亡率を低下させることなどから、こちらの手術方法が優先して検討されます。一般的に腫瘍の大きさが4cm~7cm以下で検討されますが、腫瘍の位置や深さによっては4cm~7cm以下でも選択できない場合があります。

腎摘除術(根治的腎摘除術)

腎臓をすべて取り除く方法です。主に、腹腔鏡による手術や腹部を切開して行う開腹手術によって行われます。周囲に転移がある場合は、その部分も同時取り除くことがあります。
 
そのほかの治療法には「薬物治療」などがあります。「薬物治療」は、主に転移や再発をした場合に検討されます。手術と組み合わせて行われることもあります。

予防

腎臓がん(腎細胞がん)のリスク要因は、肥満や喫煙、高血圧など生活習慣と密接に関係している要因があります。そのため、健康的な食生活や適度な運動などで生活習慣を整え、これらの状態を改善させることが予防につながると考えられます。
 
また腎がん(腎細胞がん)は、健康診断などの腹部エコー検査で偶然発見される頻度が高く、このように発見される腎がん(腎細胞がん)の多くは早期の段階です。そのため、腹部エコー検査を含む健康診断などを定期的に受けることもよいでしょう。

医師紹介

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奥田 英伸 医師
大阪大学医学部卒業

2004年 大阪市立総合医療センター初期研修医、2006年 市立豊中病院、2008年 大阪中央病院、2009年 大阪大学医学部附属病院、2014年 オーストラリア モナシュ大学研究員・講師、2019年 守口敬任会病院。泌尿器科専門医(日本泌尿器科学会)、腎臓専門医(日本腎臓学会)、透析専門医(日本透析医学会)、認定内科医(日本内科学会)。専門分野は腎不全、透析、血管外科、泌尿器科一般。