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舌がん

公開日: 2016-09-06
更新日: 2021-03-30

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上浦 大輝 院長

舌がんとは

舌がんとは舌にできるがんで、一般的には舌の前方3分の2の部分にできるがんを指します。口の中にできる「口腔がん」の一種で、口腔がんの中では最も頻度が高いがんです。

原因

舌がんを含む口腔がんの主な発生要因は、喫煙と飲酒があげられます。どちらか片方でもリスクがありますが、両方の習慣がある場合は、よりリスクが高くなります。そのほか、舌への慢性的な刺激となる「虫歯」「合わない詰め物・入れ歯」「悪い歯並び」「不衛生な口内」なども要因となります。

症状

舌がんの多くは舌の側面にできます。舌の裏側などにできることもありますが、先端や表側の中央部分にできることはまれです。主な自覚症状には以下のようなものがあります。

舌がんの主な症状

  • 長引く(2週間以上)口内炎
  • 舌のしこり
  • 舌のただれ
  • 舌の白板症(白い斑点)
  • 舌の紅板症(赤い斑点)
  • 舌の違和感
  • 舌のしびれ

など
また、進行すると以下のような症状があらわれます。

進行したときの主な症状

  • 持続的な舌の痛み
  • 持続的な舌からの出血
  • 舌が動かしづらい
  • 口臭
  • 首の腫れ

など

検査・診断

まずは視診や触診でがんの疑いや大きさなどを確認します。がんが疑われる場合は、細胞や組織の一部を採取して細胞診断や組織診断などが行われます。
舌がんと確定した後は、がんの深さや広がりなどを把握するために、CT検査やMRI検査などの画像検査を行います。そのほか、全身や骨などに転移がないか、PET検査や骨シンチグラフィ検査などが行われます。

治療・治療後の注意

がんを切除する「外科治療」を中心に検討されます。そのほか「放射線治療」「薬物治療」があります。

外科治療

主に、がんのある部分を切除する手術です。切除する大きさによって、舌部分切除術(舌の一部)、舌半側切除術(舌の半分程度)、舌亜全摘出術(舌の半分以上)、全摘出術(舌のすべて)があります。
さらに、リンパ節への転移・転移の危険がある場合は、その部分を周辺の組織ごと取り除く頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)を行うことがあります。
また、舌を半分程度以上切除すると舌の機能を維持することが難しいため、お腹や太もも、腕などから皮膚と脂肪を切り取り、舌に移植する再建手術を合わせて行うことがあります。
切除部分が大きい場合や再建手術を行った場合は、手術後にリハビリテーションをすることで嚥下や発声などの舌の機能をある程度回復させます。

放射線治療

がん組織やその周辺組織に直接照射する「組織内照射」と、身体の外から照射する「外部照射」があります。がんがそれほど進行していない場合は、「組織内照射」での治療も検討されます。「外部照射」は「組織内照射」との併用、外科治療や薬物治療の補助的な治療として行われます。

薬物治療

抗がん剤を使った治療です。がんが取りきれなかった場合や再発・転移のリスクが高い場合に検討されます。「放射線治療」との併用や「外科治療」の補助的な治療として行われます。

予防

禁煙と過度な飲酒は控えましょう。また、虫歯や詰め物・入れ歯、歯並びなどに気になる症状がある場合に放置しないことはもちろん、歯や口腔内の環境を常に保つために、定期的な歯科健診を受けましょう。

医師紹介

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上浦 大輝 院長
昭和大学医学部卒業

大学病院や国立病院などでの勤務を経て、2020年に「戸塚安行かみうら耳鼻咽喉科」を開業。大学病院の専門外来で頭頸部がんなどの診療に携わった経験を活かし、身近な耳鼻咽喉領域の診療から悪性腫瘍の診断まで幅広く対応する。専門は耳鼻咽喉科一般・耳科領域。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医、日本アレルギー学会専門医、補聴器相談医、身体障害者福祉法第15条指定医。