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扁桃炎

公開日: 2016-09-06
更新日: 2021-03-30

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上浦 大輝 院長

扁桃炎とは

扁桃炎とは、扁桃腺にウイルスや細菌が感染して炎症を起こした状態です。扁桃腺は、正式には口蓋扁桃(こうがいへんとう)と呼ばれ、舌の付け根あたり、口蓋垂(こがいすい/のどちんこ)の両脇にあるリンパ組織です。

原因

扁桃腺に細菌やウイルスが感染することで起こります。頻度としては、ウイルスより細菌が原因となることが多く、中でも溶連菌感染症の原因細菌でもある溶血性連鎖球菌によるものが最も多いです。ウイルス感染の場合は、一般的な風邪のウイルスであるライノウイルスやコロナウイルス、咽頭結膜熱(プール熱)の原因でもあるアデノウイルス、手足口病やヘルパンギーナの原因でもあるエンテロウイルス、そのほかインフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルス、EBウイルスなど、さまざまなウイルスが原因となります。

扁桃腺はその位置から細菌やウイルスが付着しやすい場所ですが、普段は扁桃腺自体や身体のもつ免疫機能により感染は起こりません。しかし、疲労やストレス、風邪などで、その免疫機能が低下すると、扁桃腺に付着した細菌やウイルスが増殖、感染しやすい状態になるため、扁桃炎が起こりやすくなります。

症状

扁桃炎の主な症状

  • のどの痛み/腫れ
  • 飲み込むときの痛み(嚥下痛)
  • 発熱
  • 全身倦怠感などの風邪症状


このほか、腫れや痛みが耳や首にまで及ぶこともあります。

検査・診断

問診や視診などの一般的な診察で、症状や周辺の感染症の流行状況などから診断します。感染している細菌/ウイルスの特定のためや全身状態の把握のためなど、必要に応じて迅速診断キットを用いた検査や細菌/ウイルス検査、血液検査、尿検査などが行われることがあります。

治療・治療後の注意

細菌性の場合は、原因細菌に対する抗生物質を使った治療をします。基本的には飲み薬が処方されますが、のどの痛みなどの症状が重く飲食ができない場合や脱水症状を起こしている場合などは、点滴での治療が行われます。

ウイルス性の場合は、特別な薬や治療法はありません。のどの腫れや痛みに対する消炎鎮痛剤や発熱に対する解熱剤など、特につらい症状があれば、それらをやわらげる対症療法となります。

炎症が酷く、扁桃腺の周囲に炎症が広がり膿が溜まっている場合は、注射針や切開によって膿を取り除く外科的治療が行われます。また、扁桃炎を年に3~4回以上繰り返す状態は「習慣性扁桃炎」とされ、扁桃腺の摘出手術が検討されます。

予防

扁桃炎は免疫機能の低下により、扁桃腺で細菌やウイルスが増殖、感染することで起こります。そのため、疲れやストレスをためない、十分な睡眠をとる、栄養バランスのよい食事をとるなど、生活習慣を整えて免疫機能を維持しましょう。

医師紹介

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上浦 大輝 院長
昭和大学医学部卒業

昭和大学医学部卒業。大学病院や国立病院などでの勤務を経て、2020年に「戸塚安行かみうら耳鼻咽喉科」を開業。大学病院の専門外来で頭頸部がんなどの診療に携わった経験を活かし、身近な耳鼻咽喉領域の診療から悪性腫瘍の診断まで幅広く対応する。専門は耳鼻咽喉科一般・耳科領域。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医、日本アレルギー学会専門医、補聴器相談医、身体障害者福祉法第15条指定医。